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第56話 リリアナ、救貧院で名前を書く

last update Petsa ng paglalathala: 2026-10-02 21:51:13

 救貧院へ行く朝、リリアナはいつもより早く起きた。

 眠れなかった、という方が正しいかもしれない。

 目が覚めた時、窓の外はまだ薄暗く、王宮の庭には朝靄が残っていた。遠くで鳥の声がして、廊下の向こうから女官たちの足音が小さく響いてくる。

 昨日までなら、その時間に起きても、リリアナは布団の中で丸まっていただろう。

 寒い。

 眠い。

 今日は嫌。

 お母様がいない。

 お姉様は忙しい。

 そうやって、自分の気持ちを言葉にする前に、誰かが布団を整え、温かい茶を持ってきてくれるのを待っていた。

 でも今日は違った。

 自分で起きて、顔を洗い、髪をまとめた。

 服は、華やかなものではない。

 薄い灰青の外出着。

 袖口は細めで、汚れても目立ちにくい布地。

 靴も、王宮の廊下を歩くための繊細な靴ではなく、外の石
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